浦島太郎はなぜ乙姫を攻略できなかったのか? 推理編

 
浦島太郎はなぜ乙姫を攻略できなかったのか? 推理編

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前回のあらすじ

 

浦島太郎はなぜ乙姫を攻略できなかったのか? 亀真実編

リュウグウ王国に伝わる家宝がなくなってしまい、イーカ大臣の追求で凛太郎は地下牢へ幽閉されてしまう。

凛太郎を助けに来た人物がいた。

その人物とは、凛太郎が助けたあの大きなウミガメだった。

詳しいことはわからないが、そのウミガメの正体は乙姫が変身した姿だったのだ。

リュウグウ城内では忽然こつぜんと姿を消した乙姫の大捜索が行われていた。

二人で地下牢からの脱出を図ろうとするが、例の大捜索隊に見つかってしまう。

凛太郎と乙女は奪われたリュウグウ王国に伝わる家宝を探すため陽動作戦に出るのだった。

 

浦島凛太郎

 

地下牢の出入り口から飛び出した凛太郎は目にした光景を疑った。

先程殴り飛ばした従者が壁に突き刺さっていたからだ。

確かに気絶させようと強めに一発入れたつもりだったが、ここまでの惨事になるとは思っていなかった。

 

「俺、そんな強く打ち込んだつもり無いんだけどなぁ」

 

凛太郎は自分の手を見つめながらぼそっとつぶやく。

 

「な、何者だ!」

 

捜索隊の一人が凛太郎の存在に気づいて声を張り上げる。

そして、その正体を見ると捜索隊たちは一斉に武器を取り出して凛太郎を包囲し始めた。

 

「おいおい、さっきまであんなに仲良くしてくれたのに、どうしたんだ?」

 

凛太郎はなんとなく察しはついているが、あえて聞いてみる。

 

「キサマがリュウグウ王国の家宝を奪ったことはわかってるんだ。んん? キ、キサマどうしてここにいるのだ!? キサマは大臣に幽閉されたはずじゃ……」

「俺を囚えておきたかったらもっと頑丈なやつにしないとなぁ」

 

凛太郎はそう言って、捜索隊に引きちぎられた手錠付きの両手を見せる。

 

「小癪な、ひっ捕らえろー!」

 

捜索隊の一人がそう言うと、全員で凛太郎に向かって走り出す。

その光景を見た凛太郎はやれやれと言った感じでニヤッとする。

 

「おいおい、今の俺はめっちゃ強いぞ、何でかは知らないけど」

 

そう言って凛太郎は応戦する。

 

 

 

一方、イーカ大臣は別の部屋で乙姫捜索の指揮をっていた。

そこへ満身創痍の捜索隊の一人が報告へ来る。

 

「イ、イーカ大、臣……ご、ごほ、こ、くが……がはっ」

 

従者は報告もろくに行えず倒れてしまう。

イーカ大臣は駆け寄ってどういうことかと問いただすも、従者はほぼ虫の息でしゃべることが出来ない。

 

「……ぉ……ぃ…」

 

そう言い残して気を失ってしまった。

 

「おい、大丈夫かあああぁぁぁぁ! くそっ、何だ、『おに』、とは…」

 

イーカ大臣はその場を他の従者に任せて部屋を出る。

 

「くそぉぉ、どういうことだ、何だ? 何が起こってるんだ」

 

計画通りに事が運ばなくて、怒り心頭のイーカ大臣は一人長い廊下を歩きながら怒鳴り散らす。

そして、しばらく歩いていて違和感に気づく。

 

(おかしい、何だこの静けさは…)

 

捜索隊の姿が見えない。

いつも見知った風景がどこか知らない景色に見えてきた。

どこからともなく冷たい風が漂っているように思えて、身震いをする。

イーカ大臣は身の危険を感じて胸元から白い玉を1つ取り出して口に入れると同時に一つの部屋から轟音が鳴り響いてきた。

 

ドゴオオォォォン! ボゴオオオォォォォン!

 

突然の轟音と地響きに驚いたイーカ大臣は音のする部屋へと足を運ぶ。

 

(何だ? 何が起きてるんだ?)

 

不安な気持ちを抑えきれず、運ぶ足が次第に早くなっていく。

 

 

長い廊下を抜けた先には見知らぬ世界が広がっていた。

床にはひずみが入り、壁にはまるで巨大な鉄球でもぶつけたのかというようなあとが随所にあった。

そしていたるところには人、人、人。

あられもない方向に曲がった腕や足を携えて、捜索隊が全員床で横になっていた。

 

「こ、これは……」

 

イーカ大臣が目の当たりにした光景に呆然ぼうぜんと立ち尽くし口を開いた。

ヒュンっとイーカ大臣の顔を横切って何かが飛んでいった。

振り返ると壁にまた1つクレーターが出来ていた。

クレーターの中心から捜索隊の従者が落下していくのを見ていると、ふいに後ろから声をかけられた。

 

「待ってたぜ、大臣さん」

 

イーカ大臣は聞き覚えのある、だが決して聞くことはないと思っていた人物の声を耳にした。

 

「なっ!?」

 

振り返り、声の主を見たイーカ大臣は絶句した。

対照的に声の主ーー凛太郎は薄く笑みを浮かべながらイーカ大臣に問う。

 

「なぁ、大臣さん。一つ聞きたいことがあるんだが、何で俺が家宝の窃盗犯になってるんだ?」

「そんなことはありませんぞ。ただ、疑いがあるというだけで……」

「なら何でこいつらは俺を犯人と決めつけて襲い掛かってきたんだ?」

「それは私にはわかりませんな」

「まぁ、今となっちゃわからんだろうなぁ。俺が全て倒しちまったからな。だが、おかしくないか?」

「何がですかな?」

「ここにいた全員が俺を犯人と決めつけてきたんだぜ?」

「それは凛太郎殿が犯人だからじゃないですかな?」

「あはははは、そうか、やっぱあんたか、窃盗犯さんよ」

 

イーカ大臣は怪訝そうな顔をして凛太郎に問を重ねる。

 

「なぜそう思うのですかな?」

 

目以外は笑ったまま凛太郎はイーカ大臣に言う。

 

「まず第一に、これだけの人数で俺が拘束されていたおよそ3、4時間、捜索して見つからないのがおかしい。有に100人は超えてるだろ。いくらこの城が広いと言ってもこれだけの人数で探したら見つかるだろ」

「ふむ。しかし、それでも見つからない可能性だってありますぞ。現に今も見つかっていないではないですぞ?」

 

イーカ大臣は凛太郎の意見を一部認めるが、イーカ大臣が犯人である決定的な証拠にはなりえない。

それを承知で凛太郎は推理を続ける。

 

「俺はこれだけの人数で探しても見つからないことに疑問をいだいた。そこで俺は一つの可能性を見出した。それは、まだ探していない部屋があるかもしれないという可能性」

 

イーカ大臣の表情がわずかに痙攣けいれんする。

普通の人間には決してわからない表情の変化。

しかし、浦島流格闘術をマスターした凛太郎には十分すぎるほどの反応。

その反応を確認した凛太郎は推理を続ける。

 

「まだ探していない部屋、それは探す必要のない部屋とも取れる。この捜索を決行し、指揮を執るやつは好きな命令を出せる。そう、例えば『自分の部屋はもう探したからその他の部屋を探せ!』とかな。なぁ、捜索隊指揮官の大臣さん♪」

「うぐっ……それは、凛太郎殿の妄想でございましょう? 何の根拠もないことではありませんかな?」

 

必死に動揺するのを隠してイーカ大臣は凛太郎の推理に疑問を呈す。

 

「なら、大臣の部屋探してもいいか?」

「部外者である凛太郎殿に私の部屋の物色を許す訳にはいきませんな。それに、私は凛太郎殿が犯人だと思っておりますゆえ、スキを見て盗んだものをわたしの部屋に置くやもしれませんのでな」

「なるほど、確かにあんたの言うとおりかもしれないな。なら、俺以外ならいいのか?」

「そうですな。ですが、それも叶わぬこと。凛太郎殿が全て倒してしまわれたのでな」

「ああ、そうだな。だが、まだ倒してないやつがいるだろ?」

「はて? 誰ですかな?」

 

あくまでもしらを切るイーカ大臣に凛太郎は薄い笑みを浮かべてその名前を告げる。

 

「大臣ともあろうものが何を言ってるんだか。この国の女王様ーー乙姫様だよ」

 

ギクッという表情を果たして隠せていただろうかと、それだけを心配するイーカ大臣。

だが、まだ言い逃れることが出来るのだ。

そう、女王が行方不明という。

 

「しかしながら凛太郎殿、現在乙姫様の居場所を誰も知らないのです。もしや凛太郎殿、乙姫様まで手をかけたのですかな? それは許しがたい所業ですぞ」

 

イーカ大臣は目を鋭くして凛太郎を睨む。

凛太郎が今、乙姫の所在を言ったところで証言を強要したと言われるのがオチだ。

なら、凛太郎の取れる手は限られてくる。

相手をーーイーカ大臣を倒して自分の手で確かめるという方法。

凛太郎はあえて相手を逆なでさせる言葉を選ぶ。

 

「もし、あんたの言ってることが事実だったらどうするんだ?」

「認めるんですな?」

「……さぁ? どうかな?」

 

薄く笑みを浮かべるイーカ大臣に凛太郎もニヤッとして答える。

 

「その所業、許しがたし。死をもって償ってもらうぞ!」

 

イーカ大臣は手にしていた槍を掲げ臨戦態勢に入る。

それにならって凛太郎も素手のまま構える。

 

 

最後の決戦が今始まろうとしていた。

 

 

 

浦島太郎はなぜ乙姫を攻略できなかったのか? 後編へ続く

 

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リアル友なし・非モテ・コミュ障・中二病・ヒキコモリ・ゲーム廃人。

運命のライトノベルに出会い、作家を目指してブログで物語を書いている。

頭の中は常に中二妄想でいっぱい。

コメント返信に命をかけている。

実は、2児のパパで女王様(嫁)の召使いもしている。

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たらこ

 

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